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大弁如訥:大弁は訥なるが如し(たいべんはとつなるがごとし) 日ごろ感じたこと、知り得たことを何でも書きます。
by totunaru
「光市母子殺害事件」 の被告死刑確定
   「光市母子殺害事件」 の事件当時18歳だった大月(旧姓福田)孝行被告(30)の死刑が確定することになりました。この事件は社会的関心が強く、事件の審査と共に被害者の権利も重視されるようになり、さらに18歳以上の少年に死刑判決を確定させましたことで、さらなる論議が展開されるでしょうから整理してみたいと思います。


   事件は山口県光市で1999年4月に起きた母子殺害事件で殺人と強姦(ごうかん)致死の罪で当時18歳1ヵ月であった大月(旧姓福田)孝行被告(30)が起訴されました。 裁判の経過は一審山口地裁、二審広島高裁はいずれも「死刑がやむを得ないとまでは言えない」として無期懲役としまたが、最高裁は2006年6月、「特に酌量すべき事情がない限り死刑の選択をする他ない」として、審理を高裁に差し戻しました。差し戻し審で弁護側は殺意を否定し、傷害致死罪にとどまると主張しましが、高裁は08年4月、「死刑を免れるため虚偽の弁解を弄(ろう)しており、酌量すべき事情を見いだすすべもなくなった」として死刑を言い渡していました。差し戻し控訴審で死刑を言い渡された元少年の差し戻し上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は20日、「刑事責任はあまりにも重大で、死刑を是認せざるを得ない」と述べ、被告側上告を棄却しました。そして元少年の死刑が確定しました。



   被害者側の本村氏は一貫して極刑を求め続け、社会正義が貫かれたとの声明を出しています。今回の裁判の経過で刑事裁判そのものが変化してきました。それは犯罪被害者等基本法の制定、被害者参加制度の導入です。これはかつては刑事裁判は社会の秩序維持のためにあり、被害者の利益はその反射的なものにすぎないという観点から、刑事裁判は被害者のためにもあるという新たな考えが受け入れられるようになりました。そして犯罪被害者には「被害者参加人」という裁判上の地位が与えられ、刑事裁判に参加することができるようになりました。一方判決後被告弁護団は被告は十分に反省している、また事件当時は幼少時の虐待の影響で18歳よりも精神的の幼かったと訴え判決に対する不服声明を出しています。つまり少年法では18歳未満では死刑が禁止されています。今回の被告は18歳と1ヵ月でしたのでその1ヵ月の意味が問われてくることになります。さらに18歳以上で厳然と極刑が存在するなら、少年法の18歳未満への切り下げ要求は当然出てくるのでしょう。



   とにかくこの事件はさらには死刑の是非をめぐる論争につながってくるのでしょうね。死刑の是非をめぐる問題に関してはまた別の機会に書きたいと思います。

by totunaru | 2012-02-21 15:43 | 国内事情
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