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大弁如訥:大弁は訥なるが如し(たいべんはとつなるがごとし) 日ごろ感じたこと、知り得たことを何でも書きます。
by totunaru
映画「『クスクス粒の秘密』を鑑賞して
 今回は久しぶりに面白い映画を見ましたので皆さまにご紹介します。題名は『クスクス粒の秘密』で、フランス映画で監督はアブデラティフ・ケシシュです。アブデラティフ・ケシシュは1960年チュニジアの生まれ、6歳のとき両親とともにニースに移住したそうです。映画もフランスの港町に暮らすチュニジア移民の物語です。皆さんはクスクスという料理をご存知ですか。<クスクスとは小麦粉から作る粒状の粉食、またその食材を利用して作る料理である。発祥地の北アフリカから中東にかけての地域と、それらの地域から伝わったフランス、イタリアなどのヨーロッパ、およびブラジルなど世界の広い地域で食べられている>(Wikipedia)そうです。我が家の料理にも最近時々登場するのですが、私にはあまり美味いと感じたことはありません。おそらく料理法に特別な工夫が必要なのでしょう。映画の中でもチェニジア移民たちが主人公の新しい奥さんの作るクスクスは「最悪だった」と言っているシーンありました。クスクス作りの名人の元妻の作るクスクス料理では魚や野菜を加えてソースをかけるようでした。この辺りはかなりワインなどとの組み合わせは良さそうですね。




 さて『クスクス粒の秘密』ですが、61歳のフランスの港町に暮らすチュニジア移民男性スリマーヌが主人公です。港湾労働者スリマーヌは長年務めた会社からリストラを言い渡されるのです。彼には別れた妻(元妻)と新しい妻がいます。元妻は豊満で口やかましく、いつもスリマーヌはやりこめられてしまうのです。しかし料理の腕は天下一品でクスクス料理の名人です。彼らには成人した娘たちや息子たちが数多くいます。なぜスリマーヌが元妻と別れたかは解りませんが、現在スリマーヌは新しい妻ラティファと共に暮らしています。ラティファは美貌の持ち主で、自力でホテルを買い取り経営しているやり手の女性なのです。そして彼らはみなチュニジア移民である上に、狭い港町に暮らしていますのでお互いに相手の情報は筒抜けです。ラティファにはリムというハイティーンの一人娘がいます(スリマーヌの娘ではない)。このリムは義理の父スリマーヌをとても慕っているのです。もっとも元妻との間の娘たちもスリマーヌをとても愛しており、口数は少ないが優しいスリマーヌは幸せ者なのです。しかしリストラになったスリマーヌは新しい妻ラティファに養われる引け目から船上クスクス料理レストランを開くことを決意するのでした。




 おんぼろ船を見つけて来たのですが、レストラン開業の融資や許可書をとるには無口なスリマーヌには荷が重すぎます。義理の娘リムの協力を得て四方八方走り回ります。そしてなんとか開業の寸前までこぎ着けまして、町の有力者たちを船上レストランに招待してクスクス料理を振る舞い、一気に開業許可を取り付けようと賭けにでました。料理を作るのは元妻です。接待するのは元妻の娘たちや息子たちです。新しい妻ラティファはスリマーヌのこれらの一連の動きに反発して、このパーティーに出席しようとしません。出席したくてたまらないリムが涙ながらに母親のラティファを説得するのです。このシーンが最高です。パーティーの方は大盛会で順調に進行し、いよいよクスクス料理をふるまう時がやってきました。ところが肝心のクスクス粒が見つからないのです。さあ大変! クスクス粒が見つかるまで皆で時間稼ぎをしなければいけません。やがて絶体絶命になりかけた時にリムのとった行動は・・・・・。後は観てのお楽しみです。




 家内は最後のシーンが悲しいと言っていましたが、私はどうにでも解釈できるシーンを監督は選んでいると思いました。全体に明るい映画ですので、我々で敢えて最後を暗く解釈しなくても良いように思います。この映画ではチュニジア女性の豊満な胸やお腹がとても印象的でした。そしてなんといってもクスクス料理の食べっぷりです。家族一同が揃ってお喋りをしながらクスクスを食べるシーンではなんだか私は圧倒される思いがしました。私がこの中にいたら、とても寡黙な人になりそうな気がしました。それからリムが母親のラティファを説得するシーンです。「お母さんは美人なのだから堂々と出かけて参加すればいいじゃない。」「お母さんが行かないなら私も行かない」「お母さんを置いて、私が一人で行ったら、後で裏切ったって言うでしょ」涙ながらに説得するのでした。とにかく女性陣のバイタリティーは圧倒的でした。一度皆さん見てみてください。

by totunaru | 2014-08-30 16:09 | 鑑賞
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